ラズベリーリーフ RASPBERRY LEAF
[学名]
Rubus idaeus L
[科名]
バラ科キイチゴ属
[和名・別名]
ヨーロッパキイチゴ、フランボワーズ
[使用部位]
葉部
[成分]
フラボノイド(ルチン、クエルセチン、ケンフェロールなど)
フラボノイド配糖体(フラガリン)
タンニン(没食子酸、エラグ酸など)
精油
ペクチン
ビタミンC
ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)
[作用]
鎮痙、鎮静、収れん、子宮刺激、子宮強壮、止瀉
[注意・禁忌]
妊娠初期の方は使用しないでください
便秘の方は使用しないでください
[概要]
ラズベリーは、広義にはバラ科(Rosaceae)キイチゴ属(ルブス属;Rubus)植物の総称です。
狭義にはそのうちのラズベリー類を指し、最狭義にはRubus idaeus L.を指します。
属名のRubusはキイチゴや野バラを意味するインド・ヨーロッパ祖語を語源とし、「引き裂く」を意味するreub-に由来する説が有力ですが、「赤」を意味するラテン語のruberから派生したという説もあります。
種小名のidaeusは「Mt. Ida(イダ山)の」を意味します。
クレタ島とトローアス(現トルコのアナトリア半島)の2か所に同名のMt. Idaがあり、どちらもギリシャ神話で神聖な女神の山とされています。
ギリシャ神話には、ラズベリーは地中海にクレタ島で生まれ、かつては「神様の白いフルーツ」と呼ばれており、ゼウスの養母イーデー(イダ)が、ゼウスのためにラズベリーを摘もうと集めていたところ胸に引っかき傷を負い、その血が白いベリーを永遠に赤く染めたといわれます。
ユーラシア大陸から北米にかけて生息するラズベリーは古くから食料として、またメディカルハーブとして多くの人々に役立てられてきました。
ヨーロッパでは昔から「安産のためのお茶」として知られ、出産準備に用いられていました。
出産準備のお茶として飲むタイミングは、国によって多少の違いが見られるようですが、子宮筋の収縮を調整して、出産準備を整え分娩を楽にするため出産3ヶ月前(妊娠7ヶ月目以降)から飲用され、それ以前からの使用の場合は、1日カップ1〜3杯へと徐々に増やしていく方法で活用されます。
ほかにも含有成分のフラガリンが、子宮や骨盤の周囲の筋肉の緊張を和らげ調製する働きを持つことから、月経痛や月経前症候群(PMS)の予防や緩和、月経困難、月経過多、つわり予防、母乳の分泌促進、子宮強壮、下痢にも使われることがあります。
PMSにおいては、セロトニン代謝とも関りがあるので、不安定な気分にはセントジョンズワートを用いたり、鎮静、鎮痙作用のあるアピゲニンを含み、身体を温める働きのあるカモミールや、強い痛み、イライラや気分の落ち込みなどにはハルマン、ハルモールを含むパッションフラワーとブレンドするのも良いでしょう。
ホルモンバランスの乱れを整えるのに、フィトエストロゲン作用をもつチェストベリー(*1)などと併せても良いでしょう。
(*1『チェストベリー』は妊娠中の方、小児へ使用しないでください。ドーパミンに影響を与える薬剤(D2リセプター阻害剤、経口避妊薬)の作用を減弱させる可能性があるため併用に注意が必要です。ホルモン補充療法などの治療中の女性は使用に注意が必要です。稀に皮膚刺激やかゆみ、頭痛を起こす可能性があります)
妊娠後期のつわり、その予防には制吐作用のあるペパーミントやジンジャーをブレンドしましょう。
貧血には豊富な鉄分と、その鉄分の吸収率を高めるビタミンC含有のネトルとの飲用がおすすめですが、含まれるビタミンCは少量であるため、ローズヒップと併用すると良いでしょう。
出産後の飲用としては、母乳の分泌を促す働きに活用できるほか、ビタミン摂取もできるので、母体の回復を助けてくれます。
母乳分泌促進作用としては、フェンネルを活用するのもおすすめです。
収斂性に富むラズベリーリーフ、タンニンはタンパク質と結合して変質する作用があるので、浸剤や煎剤として下痢や赤痢に、そのほか扁桃炎、風邪、インフルエンザなどに飲用されます。
お子様の軽い下痢には、消炎作用や鎮痙作用のあるジャーマンカモミールとのブレンドで改善するとともに痛みを和らげてくれるでしょう。
ラズベリーリーフは美容にもよいハーバルティーとして日常に取り入れることができます。
有効成分であるエラグ酸は美白成分でもあり、メラニン色素の生成抑制による色素沈着抑制作用、真皮に存在するタンパク質分解酵素であるコラゲナーゼ活性阻害による抗老化作用(紫外線曝露によって線維芽細胞から産生されるコラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの活性を阻害、つまり紫外線曝露による光老化の抑制)に期待できます。
近年では、果実の抗酸化作用などが明らかになっており、ガン細胞増殖阻害などの研究が進んでいます。
ラズベリーの果実の色はアントシアニンによるもので、エラグ酸とともに抗酸化作用があります。
果実の香り成分はラズベリーケトンで、脂肪燃焼効果が期待されるとともに、育毛剤にも用いられていルようです。
かすかにフランボワーズの香りのするリーフハーブティー、渋みを感じるものの優しくまろやかさのあるフルーティーな味わいがあります。
日常的に飲みやすい風味ですので、取り入れてみましょう。
◼️外用
喉の痛みや口内潰瘍には、浸剤をそのままうがい薬としても利用できます。
収斂作用により、外傷に外用で用いられることがあります。
(2023.8.23 Organic Herbal BulkShop & TeaRoom Bownim)