ネトル NETTLE
[学名]
Urtica dioica L
[科名]
イラクサ科イラクサ属
[和名]
セイヨウイラクサ
[使用部位]
葉部、地上部
根部
[成分]
≪葉茎部≫
フラボノイド類(クエルセチンなど)
フラボノイド配糖体(ルチンなど)
クロロフィル
フィトステロール(β-シトステロールなど)
β-カロチン
ビタミンC
葉酸
ミネラル(ケイ酸、カルシウム、カリウム、鉄など)
フェノール酸
クマリン
≪根部≫
多糖類
フィトステロール(β-シトステロールなど)
レクチン
リグナン
≪刺毛≫
アミン類(ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンなど)
[作用]
≪葉部≫
滋養強壮、体質改善、抗前立腺、利尿、浄血、造血、抗菌、収斂、抗酸化、抗炎症、抗アレルギー、抗リウマチ、血糖降下、母乳分泌促進
[注意]
花粉症などの予防に利用する場合は、症状が始まる3~5ヶ月前くらいから飲み始めてください
禁忌事項としては知られていませんが、心臓および腎臓の機能低下による浮腫がある場合は使用しない方がいいでしょう
[概要]
欧州原産。ヒポクラテスの時代から造血、浄血、解毒、痛風、関節痛などの鎮痛、発毛などの治療に使われてきた長い歴史があります。
ネトルは広義には、刺毛を有する旧イラクサ連に属する植物の総称です。
学名においては、属名の「Urtica」は、ラテン語で「燃える」を意味し、刺毛による燃えるような痛みからきているとされています。
蕁麻疹を英語で「urticaria」といいますが、これはネトルの学名と共通します。
なお、蕁麻疹はイラクサの漢名です。
種小名の「dioica」はギリシャ語の「二つの家」を語源とし、「雌雄異株の」を意味します。
英名の「nettle」は、ゲルマン祖語の「nato」を語源とし、繊維原料でもあることからインド・ヨーロッパ祖語で「糸をよる、結ぶ」を意味する 「ned–」からきているともいわれています。
英名では「stinging nettle」と呼ばれることもあります。
ネトルの刺毛はケイ素やカルシウムなどからなるガラス質で中空になっており、刺毛内部にはヒスタミンやロイコトリエン、アセチルコリン、セロトニンといった発痛物質を含有します。
刺毛の先端は球状になってそれら内容物が出ないように塞がれているのですが、その球状部分の直下が触れただけで簡単に鋭角に折れてしまう構造になっています。
鋭角に折れると、注射針のように尖ったガラス質の先端が皮膚に刺さって、中の発痛物質が皮下に注入され、痛みを感じます。
つまり触れた皮膚が赤く腫れる要因としてヒスタミン酸などの成分がアレルギー反応を起こすことが原因となります。
浄化ハーブとして、浄血の目的では湿疹や蕁麻疹にアトピー、花粉症や喘息、リウマチなどのアレルギー疾患やその症状、予防に活躍します。
ドイツなどでは、春先のアレルギーやニキビ、蕁麻疹などの予防に春季療法(解毒療法)として茶剤ほか圧搾液(エキス)などで内用されます。
血液浄化系のハーブをブレンドしてドレナージを行えば、より効果的でしょう。
なお、アトピーや花粉症をはじめとした症状においては、ビタミンCを多く消費させるのでローズヒップをブレンドするといいでしょう。
ネトルは、フィトステロールやフラボノイド類、カリウム、ケイ素を豊富に含むことから利尿作用が強く、体内の老廃物や尿酸の排泄を促進するため、痛風の治療、関節炎など、尿砂(結石の原因となる砂)、それに尿道炎などの泌尿器系の感染症に茶剤として用いられます。
また、カリウムなどを豊富に含むハーブがもつ利尿作用は、体内の余分な水分だけでなく高血圧の原因となるナトリウムや塩素の排泄を促すので、利尿によって血液量を減少させることから血圧降下作用に期待ができます。
男性においては、前立腺炎、前立腺肥大による排尿痛、頻尿、残尿感などの排尿障害の症状緩和に活用できます。
また、痛風はストレス過多で発作が起きやすくなりますので、鎮静系ハーブの飲用、またはローマンカモミールなどの精油を用いて芳香浴やアロマバスでリラックスする習慣を持つようにすると効果的です。
同様に利尿作用を持つホーステールや腎機能を高めてくれるクミスクチンなどのハーブブレンドティーで泌尿器の機能を高め、体内の過剰な水分や老廃物をスムーズに排泄することができるでしょう。
ネトルが含有する豊富なケイ素は、血管や関節をはじめとす結合組織を強化する働きがあり、またカルシウムも多く含むため爪や髪の発育、骨粗鬆症の予防にも役立つ成分です。
高い抗酸化作用を持っており、コラーゲンの生成を促す、ビタミンCが豊富なローズヒップとのブレンドで、エイジングケアとして活用ができます。
よってコラーゲンの変性を抑制する観点から、たるみなどの肌の衰えが気になる場合も、積極的に、そして日常的に摂取するといいでしょう。
ビタミンCの効果を高めたいのであれば、奏を成すエルダーフラワーなどのフラボノイドが豊富なハーブとブレンドしてください。
なお、抜け毛が気になる時には、血行を促進するローズマリーをブレンドしましょう。
シャンプー剤として活用もできます。
ヘモグロビンに構造が類似したクロロフィルや鉄分などのミネラルを豊富に含み、造血機能の促進作用から特に鉄欠乏性貧血や多月経に飲用できます。
ただし胃の弱い方は鉄分吸収が良くないので、それも治すことが必要です。
クロロフィルの働きとしてほかにとミトコンドリアの酸素消費の亢進、抗酸化、細胞活性、自己治癒力の向上などに働きかけます。
豊富なミネラルやビタミンC、葉酸などを含有するため造血を目的とするほか、豊富な栄養素から、妊娠中の方や、授乳中の方にも安心して勧められるハーブです。
疲労やスタミナ不足にも利用できるでしょう。
なお、ネトルには鉄分の吸収率を高めてくれるビタミンCなどバランスよく含まれますが、同じく鉄分が豊富なマルベリーや、ビタミンCが豊富なローズヒップとブレンドし、より相乗効果を高めてもいいでしょう。
種子には優れた滋養強壮、アダプトゲン作用があるとされます。
国によっては種子を腎臓疾患の治療に用いるハーバリストもいらっしゃるようです。
根部には多糖類や葉茎部と同じくフィトステロール(β-シトステロールなど)を含み、良性の前立腺肥大の排尿痛、排尿量を高め頻尿、残尿感などの症状緩和に飲用されることもあるようです。
ネトルは粉末にしてそのまま食していただくと、より効率的で無駄がないでしょう。
抹茶に近しい風味とされますので、サラダなどの料理にふりかけたり、牛乳・ヨーグルトに加えて食べても美味しく召し上がれます。
◼️外用
豊富なビタミン、ミネラルによる整肌効果があるので、ニキビや湿疹などの肌トラブルに湿布や散剤(粉末剤)にして塗布するなどの方法で、皮膚の炎症を鎮めましょう。
止血や組織の修復の目的で鼻血や痔疾、皮膚の炎症に散剤(粉末剤)や湿布で用いられます。
育毛の目的でローズマリーと併用されることがあります。
育毛においては、シャンプー剤に頭皮の血行を促進するローズマリー、毛母細胞に活力を与えてくれるヒノキチオール含む青森ヒバを、フケ症には原因となる雑菌の繁殖を抑えてくれるティートリーを使います。
(2024.3.4 Organic Herbal BulkShop & TeaRoom Bownim)