マーシュマロウ MARSHMALLOW
[学名]
Althaea officinalis L
[科名]
アオイ科ビロードアオイ属
[和名・別名]
ウスベニタチアオイ、ビロードアオイ、アルテア
[使用部位]
根部
葉部
[成分]
粘液質(でんぷんやアラビノガラクタンなどの多糖類)
フラボノイド(クエルセチン、ケンペロール/ケンフェロールなど)
炭水化物
アミン類
フェノール酸
ペクチン
タンニン
アスパラギン
クマリンなど
[作用]
≪葉部≫ 粘膜保護、穏やかな利尿、去痰
≪根部≫ 粘膜保護、刺激緩和、皮膚軟化、局所の創傷治癒
[注意]
お薬と同時に服用すると薬の吸収を遅延させることがあるため、お薬を服用する前後2時間は本ハーブの摂取を控えましょう
[概要]
ヨーロッパ原産の耐寒性多年草、ドイツ、フランスが主産地。
全体に星状毛が密生しますが、柔らかく滑らかな織物のビロードのような肌触りを感じる葉をもち、草丈1〜2 m程度に⽣⻑、夏には淡い桃色の花を咲かせます。
メディカルハーブとして使用する根部は秋〜冬に収穫されます。
属名の「althaea」は、諸説ありますが「治療」または「体の治癒能力を促進する」という意味のギリシャ語「althaino」 が語源。
種名の「officinalis」はラテン語で「薬用の」「薬効がある」を意味します。
英名の「marsh」は「湿地」や「沼地」、「mallow」は「アオイ」を指し、湿った土を好み生育することに由来するようです。
ヨーロッパの伝統医学では、マーシュマロウの根部が2,000年にも渡りメディカルハーブとして用いられてきた歴史があります。
またヨーロッパでは、花や葉などを野菜としても古くから親しまれます。
かつて、洋菓子のマシュマロの原料として本種の根の粉末(澱粉)が使用されていました。
本種の根を乾燥させて粉にしたもので咳止めのトローチを作って利用したものがマシュマロに変化したようです。
現在では卵白や砂糖、コーンスターチにゼラチンや寒天などを混ぜて作る製法が一般的です。
粘液ハーブの代表であるマーシュマロウ。
全体に豊富な粘液質を含み、粘液質による胃腸などの粘膜保護(粘膜に潤いを与え刺激から守る)として、昔からトローチに、またはワインに混ぜて咳止めとして利用していたほか、胃や小腸の炎症、潰瘍、それらの痛みを抑える薬、粘滑薬や治療薬として使われてきました。
マーシュマロウの粘液はアラビノガラクタンなどの多糖類よりなりますが、葉部に約6~9%、根部に約6~11%含有するとされ、葉と根どちらも浸剤利用でも構いませんが、粘液質を目的とした場合、また炎症などで熱を帯びている場合においては、マーシュマロウ根の粉末を6時間ほど水に浸して作る冷浸剤が有効です。
胃炎、胃潰瘍などの消化管の炎症、胃酸過多、便秘などの消化器系症状に根部を、空咳やのどの痛み・腫れ、口内炎、気管支炎などの呼吸器系の炎症、膀胱炎などの泌尿器系の炎症には葉部を用いる場合があります。
マーシュマロウに含まれる粘液質とフラボノイドが粘膜を保護し、刺激を和らげ、粘膜修復作用や消炎作用をもたらします。
胃潰瘍などで胃の粘膜を保護し治癒を促すには、空腹時(早朝、就寝前など胃が空っぽの状態)に摂取するとより効果的です。
単独でも使われますが、消炎、鎮静、鎮痙作用のあるカモミールなどのハーブとブレンドすると相乗効果が期待できます。
神経を鎮めてくれるカモミールとのブレンドは神経性胃炎においても最適ですが、その場合は自律神経の調整にレモンバームなどのハーブもブレンドしてみてもいいでしょう。
なお活用方法として、カモミールの浸剤にマーシュマロウ根の粉末を直接加え、よく混ぜ合わせてから飲用しても良いでしょう。
マーシュマロウは多糖類を多く含むので、基本的に利用する際は、パウダー状にして扱うことをおすすめします。
トロみと甘みもでるので、ブレンドによっては嬌味効果を得られます。
なお、粘液ハーブとしてマーシュマロウと同様に、マロウブルーやマレイン、スリッパリーエルムも使われます。
マーシュマロウは穏やかな去痰作用をもちますので咳に活躍します。
口腔、咽頭炎などにうがい薬として利用すれば、炎症や痛みの軽減にも粘膜保護とあわせて活用できます。
◼️外用
先述した空咳やのどの痛み、咽頭炎、口内炎などの症状にマウスウォッシュなどで用います。
皮膚の湿疹、潰瘍、火傷や腫れものなどに、根を粉末にし少量の水、もしくはカモミールなどの浸剤で練り合わせたものを塗布または湿布剤として外用することで粘液が患部を保護し、修復を促してくれます。
化粧品の素材として、美白、保湿目的に使用されることもあります。
パウダー状のマーシュマロウ根は水分を含むと粘りが出るため、乾燥で荒れた肌ケアにパック剤として手軽にコスメとして活用できます。
美白作用の観点からマルベリーの浸剤などと一緒にフェイスマスクとしてパック剤のほか、化粧水に混ぜ合わせて使用する方法もあります。※手作りコスメは手軽ですが、日持ちしないため都度作るようにしてください。
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