マルベリー
[学名]
Morus alba L
[科名]
クワ科クワ属
[和名・別名・生薬名]
マグワ、カラグワ、ソウヨウ(桑葉)
根皮*ーソウハクヒ(桑白皮)
[使用部位]
葉部
根皮*
[成分]
デオキシノジリマイシン:DNJ
クワノン
ガンマアミノ酪酸:GABA
クロロフィル
フィトステロール(シトステロール、βーシトステロールなど)
ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛など)
[作用]
α-グルコシダーゼ阻害による血糖調整
根皮*ー鎮咳、去痰、降圧、消炎性利尿
*根皮は「専ら医薬品として使用される成分本質リスト」記載有、葉・花・実(集合果)は非医
[注意]
ごく稀に腹部への膨満感
[概要]
中国原産、夏緑広葉樹。
英名「mulberry(マルベリー)」は、広義においてはクワ属植物の総称で、狭義においてはマグワ『Morus alba L.』を指します。
属名の「Morus」は、古代ギリシャ語で「ブラックマルベリー」を意味する「μόρον(móron)」、またはケルト語の「黒」、「alba」はラテン語で「白い」を意味するなど語源については諸説あるようですが、マルベリーの果実は、未熟果では緑色、熟すにつれ白くなり、完熟すると黒紫に色付くことに由来するようです。
マグワは英名で「common mulberry」「silkworm mulberry」「Chinese white mulberry」などと呼ばれ、「mulberry」は属名からドイツ語を経て誕生しています。
なお、英名では果実と植物で「mulberry」、「mulberry tree」と区別することがあります。
【補足:果実形態がマルベリーに似ていることから「Indian mulberry(インディアンマルベリー) 」または「beach mulberry(ビーチマルベリー)」と英名で呼ばれるアカネ科『八重山青木(ヤエヤマアオキ)※「ノニ」のこと』の学名は『Morinda citrifolia L.』で、マルベリーとは全く異なる別植物です】
和名を「真桑(マグワ)」または「唐桑(カラグワ)」と呼び、「クワ」は「蚕葉(コハ)」または「食葉(クハ)」などから転訛したといわれ、「蚕(カイコ)が好んで食する葉」という意味があるようです。
「クワ」といえば、多くの方が「蚕(カイコ)」を連想するように、日本、中国などでの生糸生産の歴史は古く、養蚕用に多くの品種が育種されてきました。
養蚕については、既に弥生時代には既に伝わっていたとされ、「真桑(マグワ)」は中国から朝鮮半島を経て飛鳥時代には伝来し、次第に普及していったとされます。
日本には近縁種である「山桑(ヤマグワ)」『Morus australis Poir. (synonym Morus bombycis Koidz.)』が各地の山野に自生しますが、縄文時代遺跡の福井県鳥浜貝塚からヤマグワ製品が発見されていることからも太古の昔から利用されていたことが窺えます。
日本に野生するヤマグワと区別するために、「唐桑(カラグワ)」とも呼ばれています。
【補足:北海道などで「小桑(コクワ)」が親しまれよく耳にすることもありますが、コクワはマタタビ科マタタビ属サルナシであり、クワとの共通点はなく全く異なる別植物です】
マルベリーの木は日本でも古くから家具や工芸品、彫刻、建材などに利用されていました。
完熟した黒紫色の実は、昔から世界各地で生食され、ジャムやジュース、果実酒の原料として用いられてきました。
マルベリー自体の歴史は古く、中国古代王朝の後漢時代に書かれた中国最古の薬物書である「神農本草経」には、桑の葉の薬効について記述されます。
中薬では、葉、根皮のほか、葉・樹皮の乳液、根、若枝、果実なども生薬として用いられます。
なお、根皮(篩部を含む形成層から外側部分)は、中薬・漢方ともに生薬名を「桑白皮(ソウハクヒ)」と呼びます。
「桑白皮(ソウハクヒ)」は日本薬局方に収載されており、漢方で消炎性利尿、鎮咳、去痰の目的で用いられ、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」に分類されるため、食品に用いることはできません。
日本では葉を「クワ茶」として昔から親しまれており、風味としては干し草のような香りに、青味を感じるアッサリとした抹茶といったところです。
葉は健康に役立つ成分を豊富に含みます。
葉に含まれる成分のひとつ、DNJ(デオキシノジリマイシン)は、体内で二糖類を分解する酵素であるα-グルコシダーゼの働きを阻害することで、余分な糖の吸収を抑え、食後の血糖値の急激な上昇を抑制します。
高血糖によって起こる糖尿病(二型糖尿病)の予防はじめ、生活習慣病、肥満予防とその改善に活用できますが、先述の血糖値の上昇を抑制したいといった場合、食前または食事中の摂取が最も望ましく、食後の飲用は効果がありません。
糖尿病は、インスリンというホルモンがうまく働かないことにより代謝に異常をきたす内分泌・代謝性疾患ですが、放っておくと末梢神経障害や網膜症、腎症などの合併症を引き起こすのでなによりも予防が大切です。
インスリン分泌に関与する成分チャランチン含むニガウリ、イヌリン含むダンディライオンルートなどのハーブとブレンドしても良いでしょう。
また、高血糖は毛細血管にダメージを与えますので、合併症予防としてアントシアニン色素含むビルベリー、PAF阻害作用のあるイチョウなど毛細血管を保護するハーブ、サプリメントなども活用してみましょう。
なお、小腸で分解吸収されずに大腸に到達した糖質や食物繊維は、善玉菌のエサとなりますが、腸内細菌によって分解される際、乳酸や酢酸などの有機酸を生成するため、腸内環境を改善し整腸作用ももたらしてくれるので腸活、および便秘、お腹の張りなどの改善にも活用できるでしょう。
ダンディライオンルートに含まれるイヌリンもプレバイオティクスとして働くため、整腸作用にシナジー効果が期待できます。
マルベリーはクロロフィルやフラボノイド、食物繊維、ビタミン、鉄分、カルシウム、亜鉛などのミネラルを豊富に含みます。
クロロフィルは葉緑体に含まれている色素成分ですが、体内の有害物質の解毒作用や消臭・殺菌作用をもつほか、染色体異常を抑制する作用などから、発がん防止効果があるとされているようです。
また、クロロフィルには血中コレステロール値を下げ、血栓の発生を抑制する働きもあります。
フィトステロールは脂質の一種であり、植物の細胞膜を構成する成分ですが、食事で摂取したコレステロールの小腸吸収を妨げる働きから、高コレステロール血症、肥満予防とその改善に役立つとされます。
ガンマアミノ酪酸(GABA)はアミノ酸の一種で、脳で抑制性の神経伝達物質として働き、イライラやストレスを緩和し、内臓の働きを高め、血圧を下げたり中性脂肪を抑えたりする効果も期待されています。
このように日常的に活用していきたいメディカルハーブのひとつに挙げられますが、摂取する際は、なるべく葉を丸ごといただきたいので、パウダー状に加工し抽出したハーブティーをそのまま飲用、もしくは粉末をハーブソルト、ふりかけや料理、スイーツづくりなどに利用すれば栄養分を無駄にすることがないでしょう。
抹茶ほどの濃厚さは感じられないかもしれませんが、バニラやミルクとの相性も良いでしょう。
また、糖尿病などの生活習慣病の予防などに使われることが多いハーブではありますが、マルベリーに含まれるフラボノイドの一種であるクワノンは、皮膚のメラニン色素の生成を阻害し、シミ・くすみ予防に役立つとされ、その美白効果から化粧品に使用されているほか、内側から美しくなるという目的のため、粉末などに加工し食材として丸ごと使う方もいらっしゃるようです。
同じくフラボノイドの一種ケルセチンも含みますが、ケルセチンには強い抗酸化作用のほか、脂肪燃焼の促進、アレルギー症状の緩和、血糖値降下作用などが報告され、植物美容の分野で美白などの目的に広く使用されているのも納得ですね。
マルベリーの果実には葉と同様に、健康に役立つ様々な成分を含みます。
体の免疫力を高め、肌の健康、コラーゲンの産生に欠かせないビタミンCを豊富み含み、むくみ改善や高血圧予防に役立つカリウムのほか、がんや老化の原因となる活性酸素の害から体を守ってくれる色素成分アントシアニンを含有します。
ビタミンCの効果を高めるフラボノイドを含むハーブや、抗酸化作用の強いハーブと一緒に摂取すると良いでしょう。
果実はほのかに甘く酸っぱいベリー調の味がします。
◼️外用
マルベリーの浸剤を保湿、美白の観点からローションとして使用できます。
フェイスマスクとしてパックに混ぜたり、化粧水に混ぜて手軽にコスメとして使用するのも良いでしょう。
ただし手作りコスメは保存が効きませんので都度抽出して下さい。
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