ホップ HOPS
[学名]
Humulus lupulus L
[科名]
アサ科カラハナソウ属
*旧クワ科
[和名]
セイヨウカラハナソウ
[使用部位]
雌毯花
[成分]
苦味成分(フムロン、ルプロンなど)
精油(ミルセン、フムレンなど)
フラボノイド
植物エストロゲン(ソホラフラバノンBまたは8-プレニルナリンゲニン)
タンニンなど
[作用]
鎮静、鎮痛、催眠、健胃、利尿、エストロゲン様
[注意・禁忌]
・妊娠中の方は使用に要注意
・うつ状態時の使用はお控えください、また鎮静剤との併用には注意が必要です
・エストロゲン依存性腫瘍(乳がんや子宮膜癌など)、ホルモン療法を使用中の方は使用しないでください、また男性の方は多量摂取に注意ください
[概要]
雌雄異株のアサ科のつる性多年生草本植物。
ビールでお馴染みのホップ。大麦とホップをビール醸造の原料とした発酵アルコール飲料ですが、ビール醸造の歴史としてはとても古く一説によるとメソポタミア文明に遡るとされます。
初期のビールは粉末大麦を水で練りこんだものを焼いてから、水を加えアルコール発酵させたもので、ホップを風味付けや雑菌の発生を抑制するため添加物として利用するようになったのは11世紀ごろのドイツと言われています。
雌花には精油を含む黄色い樹脂であるルプリンが含まれます。
毬花にあるルプリンと呼ばれる黄色い樹脂成分に含まれているα酸やβ酸がビールの苦味に関する特徴的な成分であり(*このルプリンは、毱花にあるルプリン腺で生成され、ビールの苦味のもとになる物質が含まれています)、ビール醸造の原料としては香りや苦味、泡立ちを引き立て腐敗防止の役割を担うホップ、雌株の花部を乾燥させたものをハーブティーとして利用しますが、風味はビールのような苦味と、銀杏のような香りを放ちます。
樹脂成分の硬さにより軟質樹脂と硬質樹脂に二分されますが、軟質樹脂は乾燥させたホップの10〜25%、硬質樹脂においては3〜5%を占めるとされ、苦味に寄与するα酸やβ酸は軟質樹脂に分類されます。
α酸にはフムロン、イソフムロン、アドフムロンなどが、β酸にはルプロン、イソルプロン、アドルプロンなどが存在し、これらがビール醸造において苦味を感じる物質に変化していきます。
ホップは神経の回復作用、鎮静作用に優れ、神経が鎮まるのを助けてくれるので、状況にうまく対応できず焦ってしまうときや、気持ちが落ち着かない、ざわつくといった、不安や神経が高まったときの緊張、イライラに飲用します。
神経の高ぶりや、心のざわつきから不眠に陥りがち、ぐっすり眠れないといった方にも眠りの質を高めてくれるので活用するといいでしょう。
その場合は、パッションフラワーやスカルキャップなどの心のバランスをとりもってくれる鎮静系ハーブと一緒にブレンドすると効果的でいいでしょう。
鎮静作用だけでなく健胃作用にも優れるので、神経性の胃痛や胃痙攣、過敏性腸症候群(IBS)といった症状にも飲用できます。
中国では酒花といって健胃薬のほか、利尿薬として利用されます。
苦味成分が消化促進を促すので、健胃の働きがあります。
ビールを飲むとトイレへ行く回数が多くなると思いますが、これは水分の摂取量のほかホップの利尿作用に起因します。
ホップにはホルモン様作用があります。
ホップに含まれるプレニル化フラボノイドのグループに属する化合物「8-プレ二ルナリンゲニン」は強力なフィト(植物)エストロゲンであることが示され、この化合物がホルモンの働きに影響を与えることがわかっています。
ホルモンへの作用については、硬質樹脂のなかにはキサントフモールが存在し、この成分が大きく関係し、正しく摂取、摂食することでエストロゲン同様の反応を示し、女性ホルモン様作用をもたらすことが明らかになっています。
ちなみに、同じ品種であっても生育環境によって成分や含有量が異なりますが、毱花の中でも1%前後と微量であるものの、ビールの香りや味わいに大きく寄与するものでもあります。
更年期、月経トラブルに有用なものの、月経周期が乱れる場合を踏まえ、多量摂取には注意するようにしましょう。
なお、男性に対しては性欲減退を招く場合があるので使用量には注意が必要となります。
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