レッドクローバー RED CLOVER
[学名]
Trifolium pratense L
[科名]
マメ科シャジクソウ属
[和名・別名・生薬名]
ムラサキツメクサ、アカツメクサ、コウシャジクソウ
[使用部位]
地上部、花部
[成分]
イソフラボン類(ビオカニンA、フォルモノネチン、ゲニステイン、ダイゼイン、トリフォリリジン、プラテンセインなど)
フラボノイド類
フラボン(トリフォリン、イソラムネチン、プラトールなど)
植物ステロール
サポニン
サリチル酸
p-クマル酸
クマリン
精油
ミネラル(カルシウム、シリカなど)
アントシアニンなど
ジクマロール*葉に含有
[作用]
体質改善、リンパ系浄化、エストロゲン様、抗カタル
[注意・禁忌]
・妊娠中の使用は注意が必要です
・エストロゲン依存性浮腫などの方はイソフラボンが凝縮されたエキス剤などの使用はしないでください
[概要]
小花を集合させ、球状の可愛らしい薄桃〜薄紫色の花を咲かすヨーロッパ原産の耐寒性多年草。
牧草または野草として世界中に広く生育し、身近な野草の一つでもあります。
学名の種小名「pratense」は、「牧場に見られる」のラテン語に由来しています。
昔からリンパ系や血液の浄化作用があり、浄化ハーブのひとつとして利用されてきました。
毒素や老廃物の排出を高め体質を改善するハーブのひとつで、湿疹や乾癬など慢性の皮膚疾患やニキビに、相乗効果を期待してダンディライオンやクリーバーズなどと一緒に使用することができます。
そのほか、昔から腫瘍の治療や乳がん、卵巣がんなどに飲用や外用の補助薬としても使用されています。
リンパ腺の腫れ、乳腺炎などにも活躍します。
レッドクローバーは、同じマメ科の大豆に含まれるポリフェノールの一種イソフラボン(*1)《*1「イソフラボン」は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと似た働きをするフィト(植物)エストロゲン》含有のハーブです。
なお、大豆に含まれるイソフラボンは一般にマロニルダイジンやマロニルゲニスチンなどの水溶性で分子量の大きい配糖体ですが、レッドクローバーに含まれるイソフラボンは糖の結合していないアグリコン型といわれるもので、アグリコン型イソフラボン(*2)《*2 イソフラボンは糖が外れアグリコン型になることで、女性ホルモン様作用(エストロゲン類似構造)をもつことができます。つまりアグリコン型イソフラボンはエストロゲンと構造が類似しています》は、低分子で脂溶性が高まることから経皮吸収性にも優れます。
さらに、レッドクローバーのイソフラボンは、B環の4位がメトキシ基で置換された構造をもつ脂溶性の高いメトキシイソフラボンで、大豆には含まれません。
ホルモン分泌調整の働きにおいては、構造の類似しているフェトエストロゲンが受容体に入り込み、エストロゲン様作用を発揮します。
閉経後の更年期にエストロゲン量が大きく低下することが知られていますが、若い女性でも周期的にエストロゲン量は低下します。
イソフラボンはエストロゲン様作用だけでなく拮抗作用も併せもつので、過剰な場合は排出され、体内のエストロゲン量を適正に保ってくれます。
レッドクローバーは、エストロゲン様作用があるハーブとして、ホルモン分泌調整の働きから、更年期のホルモン補充療法の代替として自律神経の失調症状や骨粗鬆症予防に脂質異常症、月経前症候群など女性疾患に用いられます。
ホルモンバランスの乱れがちな産後においては、女性ホルモンと似た働きをしてくれるレッドクローバーなどの植物エストロゲンハーブや栄養素の高いネトル、ダンディライオンなどと併せて飲用するのも良いでしょう。
そのほか抗カタル作用や抗炎症作用から、のどの痛みや咳、気管支炎などにも利用します。
フレッシュハーブが手に入るのであれば、花部分をほぐしてサラダに散らしたり、葉を茹でて食したりとエイディブルフラワーとして活用しても見た目にも美味しく召し上がれるでしょう。