カモミールジャーマン GERMAN CHAMOMILE
[学名]
Matricaria chamomilla L
syn.Matricaria recutita L
syn.Chamomilla recutita (L.) Rausch
[科名]
キク科コシカギク属(シカギク属)
[和名・生薬名]
カミツレ
[中国名]
母菊(ボギク)
[使用部位]
花部(頭花)
[成分]
精油(カマズレン、α-ビサボロール、ビサボロールオキサイドA・B・Cなど)
セスキテルペンラクトン類(マトリシンなど)
フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン、クエルセチンなど)
コリン
クマリン類など
その他
[作用]
消炎、穏やかな鎮静、鎮痙、緊張緩和、発汗、駆風、抗アレルギー、鎮吐、創傷治癒、抗菌、防臭、皮膚代謝の亢進
[注意・禁忌]
・キク科アレルギーの方は使用しないでください(特に外用)
・稀に接触性アレルギーが生じる場合があります
・稀にアナフィラキシー反応が起きることがあります
・浸剤を眼の周辺には使用しないでください、浸剤で眼を洗浄すると、稀にアレルギー性結膜炎が生じます
・高濃度の熱いカモミールティーでは、催吐作用が報告されていますのでご注意ください
・内外用の使用に際し、一週間以上続く急性的な不調、また周期的な再発がある場合にはかかりつけ医へ相談しましょう
・子宮収縮作用があるとされ、早産を引き起こす可能性の示唆あり、妊娠中は摂取に注意しましょう
[概要]
属名の「Matricaria」は「子宮」を意味する「matrix」に由来します。
英語で「Chamomile」と表記され、ギリシャ語で「kamai(地上の)」、「melon(リンゴ)」に由来します。
フレッシュハーブはリンゴようの爽やかな香り、ドライハーブからはハチミツと焼きリンゴを混ぜ合わせたような深い香りと、まったりとした風味を感じます。
幅広い薬効を示し、乳児〜小児にも安心して飲用できるハーブで、どの国でも自然のお薬として定番のカモミール。
主成分として消炎成分のカマズレンやαービサボロール、蒸留の際には加水分解によりカマズレンに変化するセスキテルペンラクトンのマトリシン、鎮痙作用を発揮するフラボノイドのアピゲニンなどが含まれます。
胃腸の症状を和らげる作用から、消化管の炎症、潰瘍、胃炎、疝痛、胸焼け、痙攣性の腹痛や消化不良、特に神経性・ストレス性の下痢や痛み、食欲不振、過敏性腸症候群に利用できます。
なお、消化管の炎症や潰瘍、胃の痛みなどには空腹時にリラックスしながらカモミールティーをゆったりと飲むのが望ましいです。
カモミールは胃粘膜を保護して炎症を抑制し、胃酸の過剰分泌や痛みを鎮め、またフラボノイド成分が心身の緊張をほぐし、消化機能を穏やかに整えます。
胃の痛みがひどい場合は、マーシュマロウ根やマロウブルーなどの粘液質ハーブとブレンドしましょう。
マーシュマロウ根は粘液質とフラボノイドが粘膜を保護し刺激を和らげ、粘膜修復作用や消炎作用をもたらしてくれるハーブですが、ほのかなトロみが舌に転がるので、カモミールの風味と相まって、まったりとした心持ちにしてくれるでしょう。
食欲不振や消化不良には、精神のバランスを取るのに優れ、緊張や神経過敏による胃の不調を緩和するレモンバーベナ、精神的な緊張状態を緩和するℓ-メントールのスッキリとした清涼感ある香りを放つペパーミントなどとブレンドして、消化器系の機能を高めると良いでしょう。
カモミールは駆風作用や胃腸の調整作用にすぐれるので、食べ過ぎによる胃の疲れにも役立ちますが、胃腸の働きが停滞してしまっている場合はジンジャーを少量、食前に飲用して消化を促進することもできます。
ジンジャーに含まれる精油成分、辛味成分が胃腸を刺激して消化機能を高めますが、含有成分ショウガオールは消炎、鎮痛作用があるため胃痛にも用いることができます。
なお、ヨーロッパでは膨満感がある場合、カモミール、フェンネル、ペパーミントを併用して芳香健胃薬として飲用されます。
フェンネルは駆風作用にとても優れ、鼓腸を改善し、腸管の動きを取り戻してくれます。
カモミールには身体を温める働きもあります。
そのため冷え性に、また冷え性の方は生理痛、また生理前後の頭痛がひどくなる傾向もあるでしょうが、カモミールの鎮痙作用も相まって生理痛・頭痛にも大変有用なハーブです。
身体の冷え、心身の緊張状態は眠りの質に悪影響を及ぼします。
質の良い眠りのためにも、鎮静作用のあるカモミールを就寝前にミルクと混ぜて飲むといいでしょう。
不安や神経のイラだち、興奮、怒りや気分の落ち込みなどで、なかなか眠れないといったときには、自律神経の働きを整え、ストレスの影響を緩和し、優しく心身を包み込んでくれるような温もりのあるカモミール、シングルでももちろん美味しくいただけますが、そのような夜には植物性の精神安定剤といわれる鎮静作用に優れたパッションフラワー(*1)や、中枢神経系を抑制し筋肉の緊張をほぐす作用のあるバレリアン(*2)、または甘い香りから心身の緊張を和らげるオレンジフラワーなどとブレンドすると相乗効果が期待できます。
心のバランスと気分のムラに安定をもたらすカモミールですので、お子様のかんしゃく、落ち着きのなさにも与えるのも良いでしょう。
(*2『バレリアン』は含有成分にパレポトリエイト、バルドリナルが含まれますので、3歳以下のお子様へは使用はしないでください。12歳以下のお子様は医師に相談ください。*1『パッションフラワー』は多量の使用はしないでください)
なお、PMSを和らげるハーブはさまざまですが、ホルモンバランスを整えるチェストベリーや、子宮や骨盤の周囲の筋肉の緊張を和らげるフラガリンを含むラズベリーリーフ、PMSはセロトニン代謝とも関りがあるので、不安定な気分にはセントジョンズワートを用いても良いでしょうし、生理痛・激しい頭痛のときには鎮静作用だけでなく鎮痙作用のあるパッションフラワーとのブレンドがおすすめです。
発汗作用もあるので、風邪の初期にも用いられることもあります。
カモミール自体はお子様でもとても美味しく召し上がれる風味なので嬉しいですね。
お子様の軽い下痢にも活用でき、消炎作用や鎮痙作用からカモミールと、収れん作用のあるラズベリーリーフとのブレンドで、下痢の改善とともに痛みを和らげてくれます。
飲用する場合は、必ず高温で抽出してください。ハーブティーは少し冷ましてから飲用すると良いでしょう。
消炎作用のあるカモミールはアトピー性皮膚炎でお困りの方に、また肌荒れ、肌トラブルの多い方にもおすすめです。
その場合はシングルではなく、ブレンドして飲用してください。
クロロフィルを多く含み、アレルギー体質改善に有効な浄血効果のあるネトルや、皮膚炎症状はビタミンCを多く消費してしまうので、ローズヒップとブレンドすると良いでしょう。
体質改善、浄化系ハーブはネトルの他にもまだまだありますが、カモミール、ネトル、ローズヒップのブレンドは、お茶のように親しみのある風味ですので毎日でも続けられるでしょう。
炎症体質の改善に、ヘンプ油やイブニングプリムローズ油を1日スプーン1杯程度、またはサプリメントを、油性の吸収率のあがる食後に3回に分けて摂取する方法もあります。
◼️外用
皮膚炎や傷、ニキビなどに、冷やした浸剤または芳香蒸留水にコットンを浸して、ローション、湿布剤および入浴剤として用いることができます。
入浴はストレス解消目的にも良いので、その場合は鎮静作用の強いローマンカモミールでアロマバスも楽しめるでしょう。
精油を希釈して使う場合も同じ作用が期待できます。
そのほか浸剤の使い方として消炎・抗菌作用があるので、口内炎や咽頭炎にマウスウォッシュとして使用ができます。
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